要は「掘り出されたままの黒い液体」を原油、「原油を人間が活用できるように色々な形に精製したもの」を石油と呼んでいる。
なお石油は元々「Petroleum」(Petra:石、Oleum:油)から作られた直訳語である。また、化学工業分野では石油と原油を別々の言葉として用いるが、地質学分野ではほぼイコールとして扱う場合が多い。
基本的な仕組みは次の通り。契約者が払った資金を元手にし相互扶助ファンドを形成。シャリアに適したイスラム金融商品で運用され、事故を起こしてけがをしたり、病気になったり、亡くなった人に対し、「寄付」の形で保険金を支払う形になる。なおタカフルそのもののビジネス・事業モデルは試行錯誤の段階にあり、現在も完成形としてのものはないとのこと。
]]>イスラム金融の特徴は「金利の概念は無い(利子を取った金銭の貸し借りは禁止)」「シャリアに反するものは排除される」にある。シャリア指数採用銘柄の判定にも、この概念は使われている。なお「利子」は否定されているが「利潤」は肯定されるどころか推奨されている。そして一定割合で配分することが定められている。
なおイスラム金融では基本的にヘッジファンドや先物取引は認められていない。今流行のデリバティブ取引などは門前払い状態。また、西洋諸国においてベンチャービジネスの助力過程で、資金の貸し出しではなく株式の購入(ストックオプション)を採るスタイルは、イスラム金融の考えに近い、とする考え方もある。
なおこれらはすべて和製英語であり、正式な英語表記はペトロダラー(Petrodollar、石油を意味するペトロリアムとドルを意味するダラーの合成語)である。
オイルマネーという言い回しは1970年代のオイルショックで石油が高騰し、中東諸国の発言力と資金力が高まった際に生じたといわれている。その後石油価格が低迷して産油国の資金力も低下したため、オイルマネーのパワーも減退している。
しかし21世紀に入ってから人口増加や新興国の工業化で石油の需要が増えたこと、投資資金の流動性の問題から商品先物市場の価格が高騰したこと、さらにはサブプライムローン問題で株式市場の投機資金が先物市場に流入して過度な流動性を生じたことで石油の価格は高騰。石油産出国は再び多額の「オイルマネー」を得ることになった。
オイルマネーは(中東国家は特に)政府管理下におかれた石油によって生み出されるため、当然資金も政府管轄下となる。これらを運用するのがSWFで、それらは政治的・宗教的な制約を受けることもしばしばある。
資金単位が大きいので市場への影響力は絶大なものがあるが、同時に金主が国家政府であること、さらに運用方針などもその国の政策に左右される可能性があり、政治的意図を持った投資、言い換えれば「金を武器にした投資という名の侵略行為」とする懸念の声も上がっている。また、ほとんど情報公開が行われていないこともあり、透明性が求められている。
有名どころはアラブ首長国連邦のアブダビ投資庁(ADIA)、シンガポールのシンガポール政府投資公社(GIC)などがある。
・アラブ首長国連邦……アブダビ投資庁(ADIA)(1978年設立、石油原資、2500〜8750億ドル)
・ノルウェー……ノルウェー政府年金基金(GPF)(1990年設立、石油原資、3150〜3500億ドル)
・中華人民共和国……中国投資有限責任公司(CIC)(2007年設立、外貨準備などを原資、2000億円)
・シンガポール……政府投資公社(GIC)(1981年設立、外貨準備などを原資、1800〜3000億ドル)
・クウェート……クウェート投資庁(KIA)(1953年設立、石油原資、1600〜2500億ドル)
・オーストラリア……オーストラリアフューチャーファンド(FFMA)(2004年設立、外貨準備などを原資、400〜610億ドル)
・カタール……カタール投資庁(QIA)(2000年設立、石油原資、300〜500億ドル)
・アメリカ……アラスカパーマネントファンド(APFC)(1976年設立、石油原資、370〜400億ドル)
・韓国……韓国投資公社(KIC)(2005年設立、外貨準備など、200億ドル)
・ブルネイ……ブルネイ投資庁(BIA)(1983年設立、石油、300億ドル)
・マレーシア……カザナ・ナショナル(KN)(1993年設立、外貨準備などを原資、183億ドル)
・カザフスタン……カザフスタン国家ファンド(KNF)(2000年設立、石油、150〜178億ドル)
・台湾……国家安定ファンド(NSF)(2000年設立、外貨準備などを原資、150億ドル)
・カナダ……CPP投資基金(CPP)(1997年設立、外貨準備などを原資、1120〜1540億ドル)
・イラン……石油安定化基金(OSF)(1999年設立、石油原資、129億ドル)
・ドバイ……イスティマル(2003年設立、石油原資、不明)
・ロシア……ロシア連邦安定資金(SFRF)(2004年設立、石油原資、1580億ドル)
以上がおおよそのSWFだが、いかに多くのSWFが石油を原資としているかが分かる。間接的にこれらのSWFによる資金もオイルマネーと呼ばれるゆえんである。
イスラムの法体系(シャリア、イスラム法とも呼ばれる)を基準とし、不適合とされる業種、関連商品を取り扱う企業(具体的には酒、利子発生のある金融、ホテル、ギャンブル、豚肉、女性の肌を露出するメディア、たばこなど)は除外されている。さらに業態・商品が適合しても財務状態次第では除外される場合ものある。そのため、S&P/TOPIX150内の同じ業態でも採用・不採用の銘柄もある。もちろんS&P/TOPIX150に採用されていない銘柄は対象外。
算出と配信開始は2007年12月3日から。銘柄はクェートをベースとするイスラム投資専門のコンサルティング会社であるRatings Intelligence Partnersにより選定されている。このRatings Intelligence Partners社は、シャリア監督委員会(Shariah Supervisory Board)を持ち、そこからのお墨付きに基づいてシャリア適合性の判断を行う。同委員会はイスラム法学者により構成され、彼らが企業のビジネスと財務状況について適合性の判定を行い、指数に対する指示を行う。
]]>鉄道などの陸運、電気・ガス、海運、空運、情報通信など多彩な業種が含まれる番号帯。陸運ではトラック関連が採用されたのに対し、鉄道はゼロ。これはイスラムの教え云々というよりは外為法による外国人持ち株比率規制からくるものだろう。空運などもまたしかり。電気・ガス部門では電気が全滅なのに対しガスは半々に終わった(個別の問題でもあるのだろうか)。電気は財務体質の問題(有利子負債の大きさ)が災いしたものと思われる。一方で情報通信には多くの銘柄が採用されているが、日本テレビ放送網は対象外。電波法・放送法の問題に加え、肌を露出した女性を映し出しているところが問題視されたのだろう。
この番号帯からはわずか3銘柄のみが抽出されている。日本を代表する総合商社はいずれも不採用。これは「儲け」の概念の違い(銀行金利の否定など)、豚肉やアルコールの取り扱いからくるものだろう。また、銀行業、証券業、保険業もしかり。イスラム金融では独自の保険商品が展開されているが、日本国内はそれに該当していないので、やはりシャリア指数からは除外されている。さらに不動産業界からは三井不動産などが除外され、三菱地所のみが採用されているのが気になるところ。
自動車、精密機器、その他製品などの関連銘柄が含まれる番号帯。多くの銘柄が採用されている。ただ、例えば大手印刷業者でも大日本印刷は採用されて凸版印刷が不採用など、個別の事情が反映しているものと思われる区分も見られる。一方で三菱重工業や川崎重工業などの重工業トリオは除外されているが、これは軍事産業がらみの企業であることからと思われる。
電気機器や機械など主に技術面で日本を代表する産業がひしめくこの番号帯では、もっとも多くの銘柄が採用されている。しかしよく考えてみれば、元々S&P/TOPIX150採用銘柄自体が多いのだから、当然といえば当然。一方で、例えば東芝、日本電気、富士通、三洋電機など、採用銘柄と比較しても遜色ない大手銘柄の不採用も目立つ。財務的に「?」マークがつくものもあるが、イスラム諸国向けの事業展開において、何か問題があるような話も無く、不採用の理由はよく分からない。あるいは電気機器分野において、あまりにも採用銘柄が多いがため、バランスをとる意味であえて外されたのかもしれない。
主に鉄鋼、金属・非金属関連銘柄が含まれるこの番号帯では、日本を代表する多くの企業がS&P/TOPIX150に採用され、またシャリア指数にも採用されている。全体的な業種として、不採用になるための要因は無い。鉄鋼分野では神戸製鋼所、非鉄製品分野でもいくつかの銘柄が対象外となっているが、教義的、あるいは財務的に問題となるようなポイントは見当たらない。気まぐれで採用・不採用が決まるわけではなく、この分野でのウェイトが軽んじられていることもないはずなので、何らかの個別理由でもあるのだろうか。
医薬品と化学系の銘柄が多く属する番号帯で、S&P/TOPIX150採用銘柄にもその傾向が多い。そして食品など教義上のハードルが低いことや、人類に対する貢献度の高さからも高評価を受け、多くの銘柄が採用されている。日本の技術を代表するセクターでもあるため、シャリア数に限らずとも注目を集めるところではある。化学系銘柄で1つ入っていないのがあるが、これは石油化学の比重が大きいからか。詳細は不明。
現時点で採用銘柄は4銘柄のみ。S&P/TOPIX150には該当するセブン&アイが入っていないのは、やはり宗教上禁止されている豚肉を商品として使っているため。また王子製紙や日本製紙グループなどのパルプ・製紙系銘柄が含まれていないのは、環境問題そのものではなく取り組み方の問題からか。紙を使う・作ること自体がネガティブ要因とされているわけではないようだ。