ネットゲーム問題点
(2000年7月記)

ネットゲームも色々な種類のものが出てきています。
みなさん期待のものはありますでしょうか?

いま思いつく発売予定のネットゲームと言えば、UO2、AOK TC、アプサラス、レインガルド、Diablo 日本語版、FF XI と言った所でしょうか・・・
(* まだこの時、UWOO(UO2) は開発停止になっていませんでした)

ネットゲームは Diablo でスタートし、同時にその問題点が浮き彫りとなって、その影響のためにそれは廃れ、それと入れ替えの形で UO が現われた感じだったと思います。
その後、Star Craft や Age of Empire などの RTS(リアルタイムシミュレーション)が現われたのですが・・・

ネットゲームには、通常のゲームにはない多くの問題があります。
回線問題、サーバー問題、ゲームバランス、チート、PK、課金、などなど・・・
今日は既存のゲームを元にしながらこのあたりの個人的な感想を書こうと思います。


・Diablo
ディアブロは、そのシステムがチート(不正改造)により崩壊しました。
元々アイテム集めがメインのゲームだったのですが、そのアイテムが自由に作れるツールが出たことによって、もうゲームが成り立たなくなりました。
問題なのは、ネットワークに繋がっている場合、そのチートによって作られたアイテムが関係ない他人にも行き渡ると言う事ですね。
通常のゲームなら、不正改造があってもその人だけしか影響を受けない訳ですが、ネットゲームの場合はそうではありません・・・
パソコンだけでなく、家庭用のゲーム機でも、PARなどのデータ改造ツールが出まわっています。 これを考えると、パソコンでなくとも、チートは行われるでしょう。
RPG のネットゲームの場合、データは個々のパソコンではなく、サーバー内に保存されないともう成り立たないと思われます。
サーバー運営が出来る所でないと、ネットRPGは作れない、という事かも知れません・・・


・Ultima Online
はい、UOです。^^; ご存知の通り、UOの最大の問題はサーバー!
サーバー運営でないとRPGがまともに運営できないのは前述した通りですが、サーバー運営というのは時間も手間もかかります。
UOはそれをアカウント料金を取って行っているのですが、その場合に問題なのは料金徴収方法ですね。 UOの場合、クレジットカードかゲームタイムですが・・・
クレジットだと18歳以上でないとダメ。
ゲームタイムだと通販等で買わなくちゃいけない。
そしてなにより、ゲームをやるのに継続的にお金が要るという事実が問題・・・
何にせよ、敷居の高いものである事は間違いありません。

しかしサーバー運営だと回線トラブルを含め、異常が起こるとそのサーバーでプレイしている全てのプレイヤーに問題が出ます。
そうすると非難ごうごうな訳で、その対応には技術的に高い能力、人員、時間、規模が必要となります。 それに必要なものはやっぱりお金な訳ですね。

それに、もしアカウント料金がないと、ゲーム発売後のサポート作業は全て「ボランティア」となってしまいます。 全く利益に還元されない訳ですからね。
そうすると、その後のゲームの発展も、サポートも、パッチも、全く期待できなくなります。
アカウント料金という収益があって、初めてそのゲームは継続運営が可能になります。

ただ、アカウント料金がある以上、逆にユーザーはそれに見合った見返りを求めます。
ユーザーがそれを受けていないと考えると、それはさらに非難に繋がってしまいますから・・・
この辺りは、難しい所ですね。


・ダークアイズ
万年βテストと称される、永遠の未完成ゲームです。^^;;
なにせ、説明書に書いてある内容の半分もゲームに実装されていないという状態。
こうなってしまったのは、サーバー運営に関する企業間の影響です。
ダークアイズは、手間と技術力の必要なサーバー運営を、NTTと提携しNTT側にまかせるという方式で発売されたものでした。
しかし、これが悪影響となりました。

ダークアイズの開発元は、ゲームが期限までに出来なくても、発売日を伸ばせば良いと考えていました。
ところが、元々公的機関だったNTTは、それを許しませんでした。
準備してるんだから、プレイ出来る範囲で発売しろ、と言ってきた訳です。
ダークアイズはNTTのサーバー運営が前提のゲームですから、NTTにこう言われると断れず、結局未完成のまま発売され、その後はパッチで仕様を追加していく方式となりました。
ところが、サーバー運営費はNTT側の徴収だったため、開発元にはその後の利益が入ってきません。 つまり、パッチ作業は無償作業、ボランティアとなった訳です。
利益のない作業に身が入るはずもなく・・・ 仕様の追加は全然進みませんでした。
しかも、それでなくても未完成のまま発売を急いだので、バグの修正作業に追われました。
おまけにNTT側の運営も、「ネットゲーム」という特殊なサーバー運営に対応できず、サーバーの回線・安定性は最悪。
しかも、NTTはそればかりに構っていられない会社ですから、いつしか改善作業も行われなくなり・・・ そして、万年未完成ゲームとなった訳です。
結局、自社にその全てを運営できる力がない限り、ネットゲームに手を出してはいけないという事なのかもしれません・・・

(* 2002年5月14日、ダークアイズは終了しました)


・ライフストーム
私はやった事がないので聞いた話なのですが、ゲームバランスに問題があったようです。
通常のゲームでは、プレイヤーは一人です。
その行動や進行は予測でき、1つのレールの上を進んでいくプレイヤーに合わせて、敵やお金を与えれば良い訳です。
ところが、ネットゲームは違います。
他のプレイヤーの介在によって、弱い人がいきなり強敵の場所に行けたり、大量のお金を譲渡してくれたりする場合がある訳です。

このゲームは、最初の場所は敵が弱く、遠くに行くほど強く、そしてたくさんのお金や強いアイテムを持っているような設定になっていました。
これは通常のゲームならこれでOKなのですが・・・
しかし、このゲームがネットゲームだったため、先に行って大量のお金やアイテムを持っている人が初心者に余っているお金やアイテムをばら撒いたりしたため、それで初心者がすぐに強力な装備などを購入し、ゲームバランスが崩壊してしまったそうです。
それでなくても金余り現象の起こるゲームだったらしく、超インフレとなってしまったようで、強さ的にもバランスが取れてない部分が多かったようですね。

ネットゲームには、特有のゲームバランスが必要だということなのでしょう。
UOは、お金が少なく、特別強力なアイテムというものがなく、経験値もありません。
(* 現在は変わりつつありますね・・・)
Diablo は、強力なアイテムにはレベルなどの制限があり、経験値は自分のレベルに合った敵でないと少量しか入りません。
通常のゲームと同じように作ると、バランスが取れないのでしょうね・・・

(* ライフストームは 2000年10月31日に会社の運営が立ち行かなくなり、終了しました。
ライフストーム2は別会社に引継ぎが行われましたが、これもすでに終了しています。
その後、これらの運営データはエニックスに渡り、クロスゲートの元となりました。
ライフストームの突然の終了は、子会社では MMORPG の運営は難しい事を示唆しているのかもしれません)


・DiabloU・Ever Quest
Diablo は発売以後、PKという問題を抱えました。
プレイヤー同士が戦うというシステムは始めから考慮されていましたが、他のプレイヤーをいきなり襲って殺す「PK」が、ここまで現われるとは予想していなかったようです。
PKも1つのプレイスタイルであるかもしれませんが、他の多数のプレイヤーのプレイ権を奪う行動であるため、ゲームを提供するメーカー側としてはその規制を考えなくてはなりませんでした。
メーカーとしては当然、多くの人が楽しめるゲームを提供する必要があります。

そのため、後発の Ever Quest や DiabloUではスイッチによって他プレイヤーとの戦闘をON/OFF するシステムを取りました。
望む人だけ対人戦が出来るシステムな訳です。
しかしこれは、PKが実質的に不可能になる事も意味しました。

初期のUOは、PKと多数の一般プレイヤーが混在する特殊な環境だったと言えます。
しかし結局、システムやペナルティーでのPK制限は相手が人間である以上無理があり、Trammel と Felucca に分割されました。
おそらく、PKと多数の一般プレイヤーが混在するゲームは今後ないと思われます。
PKは今後のゲームでは規制がかかるでしょうし、PKが簡単に出来るゲームが登場しても、そういったゲームは一般プレイヤーはやりませんからね。

しかし「悪のプレイヤー」は、やはりネットのRPGでは欲しい存在かも知れません。
この矛盾をどうするのか・・・
解決は、非常に
難しい所でしょう。