ある添乗員の試練 その2、 富士山登頂せよ!
(注釈)
このお話は私の話ではなく、旅行代理店に勤めている友人のお話です。
彼は仕事上、添乗員として日本各地も旅していたりしますが・・・
お客さんにもいろいろいる訳で、災難(?)にあうこともたまにあるようですね・・・ ^^;

(2000年8月記)

今日は、添乗員をやっている友人の話を。

以前もここで、彼がヘンな仕事で死にそうになった話をしましたが、今回、彼が仕事でいった場所は・・・ 日本で一番高い場所! 富士山のてっぺん!!

いやあ、添乗員って、色々行くんですねぇ・・・^^;
なんでも、とある大企業の山岳部のツアーだそうです。

行く1ヶ月前から「ああー憂鬱だー、いやだー」と言っており、当日バテバテにならないよう1日3キロほど歩いたりして、トレーニングじみた事をしていたのですが・・・
ある日、私が「どうせそんな事したってバテる時はバテるんだから、そんなめんどくさい事しなくても、その日1日がまんすればいいだけじゃん。」と言ったら、「それもそうだな」 とか言って、トレーニング止めてしまいました。
うーん、もしかして、余計なこと言った・・・?(^^;)


で、いよいよ登山当日。
夜中2時にバスで出発し、向こうに昼ごろついて、そこからほぼ徹夜で登るというハードスケジュールの中、いよいよ出発。
目標は、富士山頂で朝日を拝む!
5合目までバスでのぼり、そこから歩きと言う行程だったのですが・・・
片道約23キロ! 往復約47キロ!! フルマラソンより長いという・・・

6合目までは結構坂もゆっくりで、道も悪くなく、最初は「こりゃ楽勝だな」とか思ってたらしいのですが、やはり緩やかな上り坂が何キロも続くと徐々に体力を奪われていく。
7合目ですでにバテバテ。 でも、ここにある休憩所で休憩の予定だったので、そこで一休み。
で、とりあえずスポーツドリンクでも買おうと思ったらしいのですが・・・
なんと、スポーツドリンクの小ボトル、一本1200円!! たかーー!
でも、他に買うところなんかないので、泣く泣く買うしかない!
ジュース一本をお札を使って買い、良く味わって飲む。(^^;
休憩所も、畳一畳分のスペースの休憩で、2時間8000円! 高いホテル並み。
しかも2時間きっかりで叩き起こされる。

一応、カレーが付いてるのでそれを食べ、再び出発。
しかし7合目以降から急に坂がキツくなり、火山なので道も岩石が転がる砂利道。
ここからが大変! この先はもう、地獄だったそうです・・・

杖をつきながらやっと8合目の休憩所まで到着。
例よってジュースを買おうとして、また1200円。 がまんして買う。
さらにバナナがあったので買おうとしたら、1本300円。 1ふさじゃなく、1本300円。
それらを買ってベンチに座ろうとしたら、なんとベンチが10分800円の従量制。
「このベンチ、プロバイダか!? いーかげんにしろ!」 とか思ったらしいのですが、みんなベンチに座ってるのに自分だけ地べたなのはさすがに気が引けるので、泣く泣く座る。
占めて2300円の10分休憩。(^^;  さすが富士山、標高も高いが値段も高い。

休憩終了後、ふたたび歩き出すと、今度はツアーの同行者のおばさんが、「もう歩けません。動けません。だめです」 とか言い始める。
「動けなくなるんなら来るなよ!」とか思ったようですが、添乗員なのでそうは言ってられない。 しかし、ここまで来て引き返せとも言えない。
どうしようか悩んでいると、そこに1頭の馬が・・・
この馬、歩けなくなった人を乗せて運んでくれるためのもので、このあたりを巡回しているのだそうです。
で、こりゃあいい! と友人は思ったのですが、値段を見ると・・・
2キロで4万円!! 超たかーーー!
まだその時点で頂上まで7キロぐらいあったので、頂上付近まで言ったとすると、お金は・・・
・・・結局、そのおばさんを背負って9合目まで登ったそうです。 ^^;;

で、もうヘロヘロになりながら、なんとか頂上付近まで到着。
もうすぐゴールだ、と思っていると、今度は・・・ 頂上付近で大行列。
大勢の人が登りに来ているので、頂上へ入るのに人が大勢並んでいると言う・・・
「なんでこんなヘンピなトコで行列しなくちゃいけないんだ!?」 とか思いながら、仕方ないのですなおに並ぶ。

数十分後、やっと頂上へ到着、なんとか頂上から朝日を拝むことが出来たそうです。
さすがに頂上の景色は最高だったそうで、「やっとついたー」と満足感にひたりながら休んでいると・・・ すでにとっくの昔に到着していた登山部の人がやって来て、一言。
「じゃあ、降りましょうか。」 (^^;

こうして再び地獄のロードが始まったそうです・・・


しかし、やはり普段見れないようなものや、体験も出来たそうです。
例えば、雨が上から降ってくるのではなく、下から霧状になって上がって来たり、雷の光が足元の雲で落ちていたり、ずーっと遠くの花火大会が見物できたり・・・
そういった景色などはほんとうにすごかったそうです。

でも帰ってきた友人曰く・・・
「死ぬかと思った。マジで。 もう二度と行かない。」 ^^;