ある添乗員の もろもろ

(2000年12月記)

クリスマスが近くなってきました。 街ももうクリスマス一色ですね。
今日私は、先日近所のうどん屋で見かけ無性に気に入ってしまった光ファイバーを使ったクリスマスツリー、「ファイバーツリー」を探して街を巡り歩きました。

そんなこんなで(?)、今日は添乗員をしている友人の話を。
この友人の話は今までにも何度かこの日記で書いていますが、彼の話は実際、面白いものが多いのです。
と言う訳で、今回は2本立てです。


=第1話= 「悟りの旅」

友人はある日、お坊さんからツアーの企画依頼を受けました。
友人は旅行代理店勤めで、添乗員もしますがそのツアーを自分で企画する場合もあります。
で、お坊さんからの依頼は、数人のお坊さんがその檀家さん達と一緒に、そのお寺の総本山へお参りに行くと言うものでした。

内容を聞いた友人はさっそく旅館や交通のチェックをし、一人当たり2万円のツアーを企画してお坊さんに提出、首尾良く承諾を受けました。
で、それから数日後、それぞれのお坊さんは自分の檀家さん達に、ツアーの案内状を送りますが・・・
ところがその案内状には、一人当たりの料金が3万円と書かれていました。
しかし旅行の内容は、友人が提出したものと全く変わりません。
さて、その差額の1万円は、一体どこに消えたんでしょうね・・・ (^^;

そして旅行当日。
チャーターしたバスに乗ってご一行はツアーに出発。
もちろん友人も添乗員ですから同行します。
で、ツアー自体は滞りなく進み、総本山へのお参りも厳かに行われ、問題なく進行していきました。
その後、お参りが終わった後は恒例の宴会。
旅館の大宴会場に檀家さん達が集まり、普通に宴会が始まったのですが・・・
なぜか、主役のお坊さん達の姿がありません。
聞くとツアーに参加した5人のお坊さん達は全員、別室の小部屋に集まっているとの事。
とりあえず宴会中は、友人はお客さんである檀家さん達の相手をしていました。
するとその最中、突然友人の携帯が鳴り響きます。
静かな所に移動して携帯を取ってみると、相手はそのお坊さん。
で、さっそく用件を聞きます。

友人:「あ、どのようなご用でしょうか?」
お坊さん:「コンパニオン(ホステス)呼んでくれんか」
友人:「えー・・・ 何人ほどお呼びしましょう?」
お坊さん:「7、8人ぐらい頼むわ」

これも仕事ですから、さっそく友人はコンパニオンに連絡を取り、手配をします。
その後、それらの料金等の精算のためお坊さん達のいると言う小部屋に向かい、その部屋で友人の見たものは・・・

肉や魚を含む、檀家さん達とは全く違う豪華な料理&乱立する酒瓶に囲まれ、コンパニオンのおねーさんズと戯れまくっている、酔っぱらいまくったお坊さん達の姿!
その光景はまさに文字通りの酒池肉林!

それを見た友人は、おもわず心の中で呟いたのでした。
「・・・さすがだ・・・」  
(なにが?(^^;)



=第2話= 「秋の味覚」

ある日、友人はお得意さんの会社から 「安くて面白いツアーを適当に企画してくれ」 というアバウトな仕事を受けました。
「●〇に□×円ぐらいの予算でツアーに行きたい」みたいな依頼と比べて、こういった大雑把な仕事はかえって何をすればいいのか悩むものです。

で、友人が決めたのが「マツタケ狩り」。
近隣の観光スポットの案内を見ていた時、かなり安い値段でマツタケ狩りが出来る山を見つけたのだそうです。
しかしマツタケというのは自然のものですから、その時期にマツタケがタイミングよく生えているとは限らず、行って何もなかったでは話になりません。
そこで友人はさっそくそのマツタケ狩りの山に問い合わせをします。
で、ツアーに関する話を一通りした後・・・

友人:「それで、マツタケなんですが・・・
この日に山に行って、この人数でマツタケ狩りが楽しめるほど生えているものでしょうか?」

すると問い合わせ先のマツタケ山の人が、

山の人:「ああ、大丈夫ですよ。 前日に山に行って人数分、植えときますから」

それを聞いた瞬間、友人は心の中で叫びました。
「ちょっとは隠せよ! ちょっとは!」 (^^;
安いのも、こう言う訳だったんですね・・・

・・・そしてツアー当日。
マツタケ山にツアーのお客さんの歓声が響きます。
「あったー! マツタケ見つけたー!」 「あっ、こっちにも生えてたー!」
友人は心の中で思います。 「あたりまえだ・・・」
ちなみに、スポっと抜けます。^^;

その後、山の食堂で取ったマツタケが振舞われます。
「おいしいー」 「取れたてはやっぱりいいねー」 「一応、国産だからねー!」

そんな声を聞き、友人は心の中で呟くのでした。
「俺が悪いんじゃない。 世の中が悪いんだ・・・」 ^^;