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2008年06月01日

SWFについて

2008年06月01日 13:44 | 解説・ニュース

SWFとは「Sovereign Wealth Fund(ソブリン ウェルス ファンド)」の略で、政府系ファンド、政府の出資する投資ファンドのことを指す。石油や天然ガスなど天然資源の利益によって得られた収益、さらには総合的に外貨準備などの「余力」を原資として形成されるファンド。最近は世界的な資源高によって資源を豊富に持つ国家の国家財政が急速に潤い、その資金を元にしたSWFが急増している。その額は通常のヘッジファンドの規模を上回るとさえ言われている。

資金単位が大きいので市場への影響力は絶大なものがあるが、同時に金主が国家政府であること、さらに運用方針などもその国の政策に左右される可能性があり、政治的意図を持った投資、言い換えれば「金を武器にした投資という名の侵略行為」とする懸念の声も上がっている。また、ほとんど情報公開が行われていないこともあり、透明性が求められている。

有名どころはアラブ首長国連邦のアブダビ投資庁(ADIA)、シンガポールのシンガポール政府投資公社(GIC)などがある。

・アラブ首長国連邦……アブダビ投資庁(ADIA)(1978年設立、石油原資、2500〜8750億ドル)
・ノルウェー……ノルウェー政府年金基金(GPF)(1990年設立、石油原資、3150〜3500億ドル)
・中華人民共和国……中国投資有限責任公司(CIC)(2007年設立、外貨準備などを原資、2000億円)
・シンガポール……政府投資公社(GIC)(1981年設立、外貨準備などを原資、1800〜3000億ドル)
・クウェート……クウェート投資庁(KIA)(1953年設立、石油原資、1600〜2500億ドル)
・オーストラリア……オーストラリアフューチャーファンド(FFMA)(2004年設立、外貨準備などを原資、400〜610億ドル)
・カタール……カタール投資庁(QIA)(2000年設立、石油原資、300〜500億ドル)
・アメリカ……アラスカパーマネントファンド(APFC)(1976年設立、石油原資、370〜400億ドル)
・韓国……韓国投資公社(KIC)(2005年設立、外貨準備など、200億ドル)
・ブルネイ……ブルネイ投資庁(BIA)(1983年設立、石油、300億ドル)
・マレーシア……カザナ・ナショナル(KN)(1993年設立、外貨準備などを原資、183億ドル)
・カザフスタン……カザフスタン国家ファンド(KNF)(2000年設立、石油、150〜178億ドル)
・台湾……国家安定ファンド(NSF)(2000年設立、外貨準備などを原資、150億ドル)
・カナダ……CPP投資基金(CPP)(1997年設立、外貨準備などを原資、1120〜1540億ドル)
・イラン……石油安定化基金(OSF)(1999年設立、石油原資、129億ドル)
・ドバイ……イスティマル(2003年設立、石油原資、不明)
・ロシア……ロシア連邦安定資金(SFRF)(2004年設立、石油原資、1580億ドル)

以上がおおよそのSWFだが、いかに多くのSWFが石油を原資としているかが分かる。間接的にこれらのSWFによる資金もオイルマネーと呼ばれるゆえんである。

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